通常の修繕費が税務上経費扱いされることに対して、資本的支出は税法上経費に損金算入されない資金である。これは通常の修繕費とは違い、資本的価値を付加するものであるという考え方である。しかし、例えば約15年間毎に予想される陸屋根の防水再工事等、それ自体キャッシュフローに貢献するものではなく、ましてや、あらかじめ計画できる積立て費用であり、不動産資産の価値を維持するために強制的に支出される資本的支出である。税務上の取扱いとは別に、投資の意思決定判断においては、これらを長期的な強制経費として営業支出に計上する必要がある。投資判断においては、あくまで収益性向上に貢献する戦略的な投資と、現状を維持する修繕費とを区別する必要がある。これは税務上の判断と投資上の判断との違いである。計上の方法は、発生が予想される年度に一括して経費全額を計上する方法と、各年度に按分して積立方式で計上する方法がある。現実の問題として、これらの修繕積立費は明確な別勘定で管理されることが少なく、何らかの欠損が生じた時等、収益補填にまわされてしまうケースが非常に多い。これらの大規模修繕費が実際に発生した時に、改めてキャッシュフローからキャシュアウトされることになる。
あるいは借入れを起こしてキャッシュフローの補填をした上で、キャッシュフローの減少を計上することになる。中小規模の収益賃貸物件では、実際の経営において、多くの場合が後者の処理になる。家賃収入である鴬業収入から、一般販管理費である営業支出を差し引いた純営業利益が不動産投資の純収入となる。この純営業利益を不動産投資物件購入額(総事業灘)で割った利益率がキャップレートとなる。このキャップレートでその投賓案件を判断する時は、あくまで投資の対象となる元資産の利益性を判断することになる。一般に不動産の市況を説明する時にキャップレートを用いるのは、人為的な経営状態を判断するのではなく、あくまで不動産資産自体の収益性を見るためである。これは、その物件を購入した後、どのようなファイナンスを仕組み、レバレッジがどのように作用して得られた収益率かというものではなく、いわゆる自己資金100%で、その投資額を運用する収益率である。つまり、物件そのものの収益性を意味する。